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α−アルブチンとアルブチン(β型)との違いは、ハイドロキノンとブドウ糖の結合がαタイプかβタイプかの違いだけであり、分子量などは同一です。このαタイプとβタイプの違いを理解するうえでの身近な例として、デンプンとセルロースが挙げられます。デンプンはご飯やイモなどの主成分で、ブドウ糖がα結合で多数つながった物質です。このデンプンは沸騰水中で水に溶解し糊となり、食べると消化吸収されます。一方、セルロース(木や紙、木綿繊維の成分)は、ブドウ糖がβ結合で多数つながった物質です。このセルロースは水には溶解せず、食べても消化吸収されません。
このように結合がαタイプかβタイプかで異なることにより、それぞれの物質の性質は大きく異なるのです。
シミ・ソバカスの原因となるメラニン生成のキーとなる酵素であるチロシナーゼは、皮膚内部にあるチロシンやDOPAという物質(基質と呼ばれます)を酸化する反応を触媒しメラニンを生成します。α−アルブチンやアルブチンは、このチロシナーゼの反応部位にチロシンやDOPAの代わりに結合することで、酵素活性(チロシナーゼがメラニンを生成する働き)を抑制します。このような働きをする物質を阻害剤と呼びます。
基質や阻害剤の酵素反応部位への親和性(結合のしやすさ)に影響を与える要素としては、(1)基質や阻害剤が酵素反応部位の立体的な構造(空間)にフィットする形をしているかどうか、(2)酵素反応部位と基質や阻害剤の静電的な性質がマッチしているかどうか(反発しやすいか、引き合う力が強いか)、などが挙げられます。
江崎グリコの研究でα−アルブチンとアルブチンの立体構造についてコンピューターを用いて計算しています1)。 その結果、両者ではブドウ糖とハイドロキノンの結合角度がかなり異なっていること、またアルブチンではハイドロキノンの部分に静電的にマイナスの環境が存在しているのに対し、α−アルブチンでは認められないことがわかりました。このようなαタイプとβタイプの結合の違いに起因する立体構造の違いや静電的な性質の違いが、α−アルブチンのチロシナーゼに対する高い親和性、すなわちチロシナーゼに対する阻害活性の強さにつながっているものと推察されます。
(1) J. Biosci. Bioeng., 99, 272-276 (2005)
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